2008年11月22日土曜日

SNOW!SNOW!!

まだ11月だというのに 既に氷点下の日々。
家の中は暖房がガンガン効いていて
暑いくらいだから うっかり窓から差し込む
日差しにだまされて
外に出ると その寒さに鞭を打たれる気分。
ヒィイィイ~。

これで曇天なら間違いなく雪だろう。
そうか、もう雪の季節なのか、、、


雪の絵本は数あれど
子供がこれほど 雪の降るのを楽しんでいる絵本も珍しい。
最初に空から落ちてきた雪の一片を
見つけてはしゃぎだし、徐々に増えてゆく雪のかけらに
小躍りして外に出る男の子。


この絵本の作者は ユリ・シュルヴィッツ。
彼の作品で評価が高いのが
「よあけ」という絵本だが
この本は初夏の夜明けを美しく描いている。
また、「あるげつようの朝」という絵本は
朝、雨、、、という情景が印象的な本だ。

そんな風に彼の作品は静けさが漂う絵本が多いのだけど
この「snow」では こどもの喜ぶ様子が
動きとともに伝わってくる。

そして この町の様子、、、、、、、、
 
彼はNY在住。
この家並みは ブルックリンあたりか。

もしくは 祖国のポーランドの町並みか。
もしかして グリーンポイントのあたりかな。
また、 彼はジューイッシュなので 出てくる人々の服装や
ムードもこの近所(クィーンズ)に住んでいる人たちに似通っている。
(ちと 画像ではわかりにくいかな。他のページにしとけばよかった。)

もちろん こんな印象を持つのはNYに住んでいるからこそなんだけど。
(住んでなきゃわかんないよなぁ。)

*******************

私は静岡県東部で育った。
そこでは 雪が降るのは年に数回。
温かい気候の地方では 雪っていうだけで
こどもたちは大騒ぎしたものだ。

そういえば小学校の低学年のころ
雪がふり始めた夕方に、近所の店へお使いに行かされ、
妙に嬉しかったことを今でも覚えている。

確か 雪だ!雪だ!!と 騒ぎながら兄貴と
一緒に その近所の雑貨屋(食品、化粧品、衣料品が小さな店ながら
色々揃ってた、、、。、)まで とことこ歩いていったのだった。

子供の頃は 雪におおはしゃぎしたけれど
いまでは 雪が降る、って聞くだけで 
深いため息が出るようになってしまった。

その傍らで 息子が天気予報に
雪マークが付いていると言ってニンマリしている。
去年、雪玉製造機(?)を買ってもらったので 今年は思う存分
雪玉を作って投げたいそうだ。

やっぱり雪は子供心をくすぐるもののようだ、
2008年のこの時代においても。

*そうそう久々に編み物ブログに作品公開です。
 毎日バタバタでも チマチマは続くのである。
http://knitting11374.blogspot.com/

2008年11月8日土曜日

それでもまだエンソくん。



ついに出た!
今日の絵本はスズキコージの絵本である。
日本においても世界においても
これほど奇妙な絵本作家はいない、のではないかと
密かに思い続けてきた私である。

濃いぃ画風で 実際どんな作家さんかと気になるけれど
絵本や時代にお客さんやコージさんの知人の方々から
聞いた彼の素顔は 「お茶目でキュートで変な人」だそうだ。
もう随分昔の(70年代後半だったと思う)雑誌で
彼が紹介されていたのを読んだことがあるけど
若くて売れない時代には 電車の中で
絵を売り歩いていたそうだ。

、、、、、、、絵は売ってないけど
NYの地下鉄ではM&Mとか
ラティーノのバンドおじさんのCDとか
よく売りにきますね、あんな感じだったのかも。
ふふふ。


とはいえ、彼の評価は高いけど
人によっては趣味に合わない人もいる。
だが しかし、奥さん、
それは大人の美意識ってもんです。

絵本やをやっている間にこの本も随分売れましたがね
スズキコージに関しては 子供が選ぶことが多かったですね、
自分でこの本が欲しいって。
彼の作風を好まないお母さんは苦い顔したものです。
ほほほ。

この「えんそくん」に関してはやっぱり男の子が
欲しがりました。
電車や車に目覚めた3歳くらいの子には
たまらない魅力にあふれているらしい。
かくいうわが息子も6歳になって
今じゃ もう 電車狂ではなくなったものの
コージ氏の描くこの深い絵に未だに 釘付けであります。
また、お話も短く単純なので
ひらがなの勉強にも役に立つ。


ストーリーはいたってシンプル。
エンソくん(男児・推定5~6歳)が
田舎に住むおじいちゃんに会いに 
初めて一人で汽車に乗って旅をする。
その車中での出来事がつづられている。

画像は 途中の駅で羊使いと羊が
どっと、汽車に乗り込んできて
エンソくんもびっくりするものの
でも一緒にお昼を食べたりして
仲良く過ごしている図。
(左の隅で お弁当・駅弁を食べているのがエンソくん。
このあと羊たちと車中で昼寝をする、、。)


う~ん それにしても
小さいときからこんな「物凄い絵」の本に
慣れ親しんでしまうのも ある種怖いことかも。

2008年10月30日木曜日

真夜中に、、、台所で、、、、。


いつからかは忘れたけど
いつの間にか パンをこねて焼く、ということが
じぶんにとっては 日常になっていた。
途中からは ホームベーカリーでコネだけしてもらうことに
なったけど それでも細々と作り続けてきた。

NYに来てからは ホームベーカリーが無いこと、
小麦粉の国産(日本の)が手に入りにくいことから
あまりパンを作らなくなった。

それでも思い出したように 時々手ゴネでつくる。
ぜんぜん おいしくないパン。
ほとんど自己満足の世界。
でも 真夜中には作りません。

さて 私の愛してやまないモーリス・センダックの絵本、
「まよなかのだいどころ」では
夜な夜なパン焼きおじさんによって
パン(正確にはmorning cake)が焼かれている。

この本、お話はもちろん楽しいし 翻訳(神宮輝夫)も
すばらしいのだけど 日本では味わえなかった部分が
あることにNYに来てから 気が付いた。
 
そう この風景、これはまさにニューヨークの夜!
なんていうか 地下鉄の7番線、アストリアのような風景だけど
実際はブルックリンのはず、、、
私はまだブルックリンに馴染みが余り無いので
何ともいえないが センダックはブルックリンに
長いこと住んでいたから きっとそうだと思う。

お話よりも この絵本ではやっぱり絵に惹かれてしまう。
細部を眺めると 色々な発見が!
(もともとはもちろん英語なんですが、)

←不良品はとりかえます???。
←やっぱりブルックリンか、、?!

ああ、子供に読むのをそっちのけで 
絵の隅々まで眺めてしまう。
そのうち TVチャンピオンで
「まよなかのだいどころ」選手権があったら
けっこういいトコまで 行けそうな気がする、、、、
あ、TVチャンピオン、もう番組打ち切りになるんだったっけ。

残念だなぁ。


というわけで 子供の絵本の大人の楽しみ方でした。

「まよなかのだいどころ」
モーリス・センダック 富山房発行







2008年10月21日火曜日

いろいろへんな色のはじまり




なかなか来ないバスを待っている間に
朝顔の種を採取。紫色のきれいな朝顔だった。
そういえば こどものころ朝顔の花びらを押しつぶして
色水を作ったり 絵の具のかわりにして
遊んだなぁ、、、、。

むかしむかしには 色が無かった、、、、
そんな書き出しで始まる絵本、
「いろいろへんないろのはじまり」。

この本を読んでウチの息子は
「お母さんが小さい頃は色があったの?なかったの?」と
本気で聞くようになった。
どうやら 昔のTVが白黒だったことも知って
当時は全てが灰色だったと 思い込んだらしい。

昔、色の無かった時代に 魔法使いがひょんなことから
色、というものを発明した。
最初は青。
しばらく世界は青一色になる。
しかし皆 その色だけの生活では 憂鬱になって具合が悪い。


そこで 魔法使いが研究し、
次は黄色を発明。
みんなはしばしホッとした。
しかし その黄色だけの世界も不都合が生じ、、、、、
(目がチカチカする。)

←赤は怒りっぽくさせる色。
                            石も噛んでしまうほど!


っていう感じで 魔法使いは発明しては失敗を繰り返す。
とうとう 赤色だけの世界で皆に文句を言われ
えーい!もう何とかならんか!と
なかばヤケになって あっちこっちの色をグルグル混ぜたりしているうちに
緑、オレンジ、茶色などの色んないろを作り出すことに成功。

そうして 世界にはいろんな色が溢れ、
住んでいる人も平和に暮らすようになりました、、、っていう話。

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小さな子供が色と色を混ぜると
別の色になる、このことを発見したときの感動は
きっとこの魔法使いと同じに違いない。

しかし ちいさなこどもに絵の具を与え
好きなように描いて遊んでいいよ、って言えるほど
わたしの心は広くない。
飛び散る絵の具、水浸しの画用紙
上手くかけない!!と癇癪を起こされ
楽しいアートの時間が地獄と化した経験が何度か、、、、。

絵の具系は学校に上がってから
心の広い先生のもとで 心ゆくまま楽しんで欲しいものです。

ちなみにこの絵本の作者は
「がまくんとかえるくん」のアーノルド・ローベル。
これまた日本語版は普通に流通してますが
洋書では入手困難のようです。

「いろいろへんないろのはじまり」
アーノルド・ローベル 作
まきた まつこ 訳
富山房発行







2008年10月15日水曜日

66丁目文庫①


                 さて 以前は仕事でしていた絵本紹介ですが
こちらへ来て2年、生活にだいぶ慣れたし
絵本ネタ および 子供の本のはなしも
だいぶ溜まってきたので
ここらで リハビリ兼ねて 本の紹介&雑文を
再開することにしました。

他で日常日記は書いているので
なるべく本のことに集中して進めていくことにします。
しかも もう商売関係無しで書きたいことが
書けるから ある種、言いたい放題かも。
暴走したときは ご容赦下さい。

今回は手始めに
「しずくのぼうけん」をば。

初版は1965年。
子供の頃読んだことのある人も多いかも。
今 現在も福音館から出ています。
絵の可愛い感じにつられこの本を買った場合
意外に話が高度なのに驚くかも。

理科、とまではいかないまでも
しずくの冒険を通して 自然の仕組みも
さりげなく書き込まれている。


絵もキュートなことながら
(日本語版の文字デザインは 堀内誠一!)
翻訳された言葉のリズムがよくて
しずくの冒険に劇的な効果を挙げている。
(大袈裟だなぁ、、、、)

作者、挿絵画家ともにポーランドの人たちだそうで
残念ながら この作品の他は入手困難。
この本も絶版にならないことを祈ってます。

「しずくのぼうけん」
福音館書店 
マリア・テルリコフスカ作
ボフダン・ブテンコ絵